じりじりとした日差しが体力を消耗する『夏』が近づいてきました。夏が旬の野菜といえば、きゅうり、トマト、ゴーヤ、なす、ピーマン、おくら、枝豆…と、たくさんありますね。夏が旬の野菜は、色も鮮やかで、まさにビタミンカラー。見るだけで元気になれそうです。夏野菜には、特有の栄養素がたっぷりと含まれているのです。今回はそんな夏野菜の栄養や効能をたっぷりご紹介いたします。最後にはレシピもご紹介いたします。
きゅうり
『きゅうりには栄養がない』…と聞かれたことがある方も多いかもしれません。しかし、そんなことはありません。きゅうりの95%は水分で構成されているので、栄養がすごくあるとはお世辞にも言えませんが、きゅうりにはむくみを解消してくれるカリウム、免疫力を高めたり肌のターンオーバーを高めたりするビタミンC、便秘解消に効果的な食物繊維などが含まれています。また、その水分の多さから体温を下げる効果もありますので、暑い夏にぴったりの食材です。さらにホスホリパーゼという、脂肪を分解する酵素も含まれているので、運動した時の脂肪燃焼効果を高める働きもあると言われています。
トマト
トマト特有の栄養素と言えば、リコピンですね。リコピンとはβカロテンの一種で、トマトの赤色色素の名称です。リコピンは抗酸化作用が高く、健康や美容に良い影響を与える栄養素として注目されています。リコピンは油と一緒に摂ると、吸収がよくなりますのでトマトを食べるときには、オリーブオイルなどをかけて食べるのがおすすめです。他にも、リコピンは加熱により吸収がよくなります。生でも美味しいトマトですが、スープや炒め物、トマトソースなどにして食べるのもおすすめです。
ゴーヤ
ゴーヤと聞くとその苦い味を思い浮かべる方が多いと思いますが、その苦み成分はモモルデシンと呼ばれる栄養素なのです。モモルデシンは数種類のサポニンと20種類のアミノ酸で構成されている栄養成分です。モモルデシンを摂ることにより胃腸が刺激され、消化液の分泌が促されます。それにより、食欲がわき、夏バテの予防に効果を発揮してくれるのです。まさに夏バテしがちな夏にぴったりの食材ですね。
なす
なすに含まれる特有の栄養素はナスニンと呼ばれています。ナスニンはポリフェノールの一種で、なすの皮の部分に多く含まれています。ナスニンには強力な抗酸化作用があります。疲労や免疫力の低下の原因となる、活性酸素を取り除いたり、老化の原因となる酸化を抑制したりする効果があるとされています。
ピーマン
ピーマン特有の栄養素はピラジンというものです。ピラジンはピーマンの苦みや香りの原因物質です。ピラジンは血液成分の改善に効果的と言われており、高血圧予防、心筋梗塞予防、冷え性の改善などに効果がありそうです。ピラジンは、普段では捨ててしまう種や綿の部分に多く含まれています。なかなか食べる機会がないとは思いますが、機会があれば丸焼きで食べると、ピーマンの栄養を丸ごといただけるのでおすすめです。
おくら
おくら特有の栄養成分はねばねば成分であるガラクタンやアラペン、ペクチンなどです。これらは食物繊維の一種で、整腸作用や大腸がんのリスクを減らす作用、コレステロール排出作用などが期待できます。
枝豆
枝豆は野菜といえども『豆』ですので、他の夏野菜と比べるとたんぱく質が豊富です。食欲不振や夏バテで、食べる気がしないときの栄養補給にうってつけの食材ですね。
夏野菜のレシピ
ここまでたくさんの夏が旬の野菜の栄養について解説してきましたが、それらをふんだんに使ったレシピをご紹介したいと思います。
▼さっぱりトマト味噌汁
材料(2人分)
豚バラ肉 40g
カットトマト缶 1/4缶
なす 1/2本
おくら 4本
オリーブオイル 小さじ1
味噌 大さじ1
作り方
- なす、おくら、豚肉は食べやすい大きさに切る
- 鍋にオリーブオイルを熱し、豚肉を炒め、ぶたにくの色が変わればカットトマトを加え、少し煮詰める
- 水300mlとなす、おくらを②に加え柔らかくなるまで煮込む
- 味噌を溶き入れ、味を調えれば完成
▼冷やしおでん
材料(2人分)
なす 1本
プチトマト 4個
とうもろこし 1/2本
ゴーヤ 1/4本
※お好きな野菜でどうぞ
梅干し 大1個
水500ml
白だし 30ml
作り方
- 野菜を食べやすい大きさに切る(大きめがよい)
- 鍋に水と白だし、梅干しを入れ火にかける
- 沸騰すれば①の野菜を加え、柔らかくなるまで煮込む
- 火を止め、粗熱が取れたらお皿に移し、冷蔵庫で冷やし、完成
まとめ
夏が旬の野菜の栄養やその調理法についてでしたがいかがでしたか?旬の野菜を食べることで、夏に陥りがちな夏バテや食欲不振を防ぐことができるかもしれませんね。夏が旬の野菜には、生のまま食べられる食材も多いので、キッチンに立つことが億劫になる暑い季節にもぴったりです。夏に美味しく食べられる食材をたっぷりと使い、暑い季節も元気に乗り切りましょう。
管理栄養士
管理栄養士として、病院・保育園で長年勤務している。保育園では献立作成・発注・大量調理・食育を担当。現在は病院にて、栄養指導・栄養管理・献立作成などを担当している。 プライベートでは、5歳と2歳の兄妹の母として家族の健康を守るべく日々奮闘しております。