秋になると、行楽で栗拾いにでかけたり、ケーキ屋さんではモンブランが並んだり、栗が1年で1番おいしい季節になります。
甘くてほくほくした食感に虜になる人も多く、「栗が好き!」という人も多いのではないでしょうか。
そんな栗ですが、中国では古くから生薬として重宝されてきました。今回はそんな栗の栄養について解説したいと思います。
栗は中国では生薬!?
栗の実の部分は「栗子」という名で生薬として、1500年前の医学書に掲載されています。その中には栗の効能は「気を益し、胃腸を厚くし、腎気を補い、飢えに耐える体力をつける」と書かれています。血流をよくし、胃や腸、腎臓の機能の向上に役立ち、体力がつく食べ物であるということでしょうか。
日本ではなじみのない食べ方ですが、中国では昔から、生のままの栗を朝晩1つずつ食べ、その効能を得ていたといわれています。ただし、生のままの栗は消化が悪いため、食べるときには1つずつよく噛んで食べることをおすすめします。
現在でも、栗は漢方薬として、実だけてなく葉やイガの部分まで、使用されています。
栗に含まれる栄養素
栗は6個たべれば成人に必要な1日分のビタミンがとれるといわれるほどの、ビタミンの宝庫です。栗に含まれる主な栄養を見ていきましょう。
ビタミンC
栗にはビタミンCもたくさん含まれています。
ビタミンCは、コラーゲンの生成を促進したり、しみやそばかすの予防や改善に役立つ栄養素です。しっかりと摂ることによって、美肌効果が期待できます。
また、ビタミンCは水溶性のビタミンですので、体内に留めておくことができず、汗や尿に混じって、からだの外に出て行ってしまいます。
毎日こまめに摂ることが大切な栄養素です。
また、水溶性ビタミンは普通熱に弱いのですが、栗に含まれるビタミンCはでんぷんに包まれており熱に強いのも特徴です。
カリウム
栗にはカリウムというミネラルもたっぷりと含まれています。
カリウムは体内にとりこまれたナトリウムを体外に排出する力を持っています。
ナトリウム(食塩)の摂りすぎでむくんでしまった場合、そのむくみを取るためにも、カリウムは有用です。
食物繊維
栗には食物繊維もたくさん含まれています。
食物繊維はご存じの方も多いように、腸内環境を整えてくれる、いわば大腸のお掃除役です。身体に不要なものを便として体外に排出し、腸内細菌の栄養となり、腸内環境を整えます。
腸内環境が整うことで、摂った栄養をきちんと吸収することができるようになりますので、美容や健康のためにとても良い影響を与えます。
葉酸
ビタミンの1種である葉酸ですが、栗にはこの葉酸もたくさん含まれています。葉酸は妊活中の女性や、妊娠初期の妊婦さんにとって必須の栄養素です。しっかりと摂ることで、胎児の健やかな成長を促すことができるといわれています。
タンニン
こちらは栗の渋皮の部分にですが、ポリフェノールの一種であるタンニンが豊富に含まれています。タンニンは抗酸化作用があり、身体を酸化から守ってくれますので、様々な病気の予防や改善に一役買うと言われています。
栗は食べすぎにも注意が必要
このように栄養豊富な栗ですので、たくさん摂りたいと思われる方も多いと思いますが、栗の摂りすぎは危険です。
食物繊維や脂質を多く含む栗ですので、摂りすぎるとお腹が緩くなったり、肌荒れや体重増加の原因となることがあります。
1日に10粒程度の摂取に留め、一度に大量に摂らずに、毎日少量ずつ摂ることが大切です。
栗を使ったおすすめレシピ
栗には水溶性のビタミンが豊富に含まれています。水溶性ビタミンは水に溶けだす性質を持っているため、茹でるとゆで汁の中に流れ出てしまいます。
調理の際には茹でずに、蒸して加熱したり、ゆで汁まで食べることができる調理法がおすすめです。
手羽先と秋の味覚の中華煮
材料(4人分)
- 手羽先 4本
- 栗 12粒
- にんじん 1本
- れんこん 15cmほど
- なたね油 少量
- 濃い口しょうゆ 大さじ1/2
- オイスターソース 大さじ1
- 砂糖 大さじ1
- 片栗粉 大さじ1
- 酒 大さじ1
つくり方
- 栗は皮をむき水につけておきます。
- 手羽先を酒に漬け臭みを取っておきます。
- れんこん、にんんじんは食べやすい大きさの乱切りにします。
- 鍋に少量のなたね油をひき、れんこん、にんじんを炒めます。
- 片栗粉以外の調味料と、手羽先、栗を加えそれぞれが柔らかくなるまで煮込みます。
- 柔らかくなれば火を強め煮汁を飛ばし、最後に水溶き片栗粉でとろみをつければ完成です。
栗の甘味がアクセントになる、こっくりとした煮物です。
ぜひ、つくってみてくださいね。
まとめ
秋が旬の栗の栄養について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
6粒で1日に必要なビタミンを補えるほどのビタミンの宝庫であることがお判りいただけたでしょうか。摂りすぎは弊害がありますので、十分な注意が必要ですが、お料理に使うなどして、毎日少しずつ食べることをこころがけてみてくださいね。

管理栄養士
管理栄養士として、病院・保育園で長年勤務している。保育園では献立作成・発注・大量調理・食育を担当。現在は病院にて、栄養指導・栄養管理・献立作成などを担当している。 プライベートでは、5歳と2歳の兄妹の母として家族の健康を守るべく日々奮闘しております。