節句とはもともと中国から奈良時代に伝えられた風習です。それを稲作を中心とした日本人の生活リズムにうまく適合させたことから、節句は日本の季節行事として浸透し、現在まで受け継がれてきました。
昔はたくさんの節句がありましたが、現代まで引き継がれている節句は以下の五つです。
朝に春の七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)の入った七草がゆをつくり、ようやく芽吹いた春の七草の「気」をいただき、その1年の無病息災を願って食べます。
これは冬に不足しがちなビタミンcを補い、正月に弱った胃を休めるためだともいわれています。
女児の誕生を祝い、健やかな成長を願う桃の節句。
雛人形を飾り、菱餅や桃の花、ちらしずしや、白酒などでお祝いします。
男児が誕生したことを祝い、健やかな成長を願う端午の節句です。
鎧兜や五月人形を飾り、こいのぼりを上げ、柏餅やしょうぶの花でお祝いします。
日本古来の方策を願う祭りと、中国伝来の女性が針仕事の上達を願う行事が折り合わさった節句です。
願い事を書いた短冊を笹につけて飾ります。
菊酒を飲み、健康と長寿を願う節句です。
菊人形展が開催される地域もあります。
今回は三月三日の桃の節句によく食べられる行事食と、その栄養について解説していきます。
それぞれの具材には以下のような願いが込められています。
エビ:腰が曲がるまで長生きできますように
レンコン:先が見通せるように
きぬさや(豆):健康でマメに働くように
ちらし寿司は彩りがよいだけでなく、単品で野菜(れんこんやしいたけ、キヌサヤや菜の花など)やたんぱく質(エビ、卵など)を補うことができ、バランス満点の料理です。
ただし、すし酢には大量の食塩が使われますし、具材を炊く際にはたくさんの醤油が使われますので、塩分が多く食後に喉が渇きがちです。
すし酢の食塩は入れなくても案外気づかないほどですので、ご自宅で調理の際にはぜひ食塩を入れずに作ってみてくださいね。
はまぐりは、タウリンや鉄、亜鉛を大量に含んでいますので、コレステロールを下げ、動脈硬化や高血圧症を予防する効果や、滋養強壮にも効果的です。
またハマグリの旬は産卵期に向けて栄養を体内に蓄える時期である2月~4月。ひな祭りの時期は1年で1番栄養が豊富でおいしく食べられるということになります。
ちらし寿司とはまぐりのお吸い物は味のコンビネーションもバツグンですね。
驚くことに関西と関東のひなあられは、全くの別物です。
関東では米絵を爆発させて作るポン菓子に甘く味付けしたものを指し、関西では味付けした餅を揚げたいわゆるおかきのことを指します。
いずれのひなあられも炭水化物を多く含んでいます。
また重ねる順番で春の情景を表現しています。下から「白・緑・ピンク」の順番で「雪の中から新芽が芽吹き、桃の花が咲いている」いう表現です。
菱餅は餅ですので、炭水化物を多く含みます。
江戸時代ころからは白酒に変化していきました。白酒はアルコール度数10%前後のお酒ですので、子供やアルコールが苦手な人はノンアルコールの甘酒を楽しむと良いでしょう。
飲む点滴とも呼ばれる甘酒は食物繊維やオリゴ糖を多く含みますので、腸内環境の改善に効果的です。
ビタミンB群も豊富に含まれていますので、美容にもよい影響を与えてくれそうです。
そのほかにも麹菌には抗酸化作用がありますので、ひな祭りに限らず甘酒はおすすめの飲み物です。
ひな祭りに食べられることが多い行事食について解説してきましたがいかがでしたか?
緑、白、桃色と彩り豊かなひな祭りの行事食を、ぜひ楽しんでみてくださいね。
管理栄養士
管理栄養士として、病院・保育園で長年勤務している。保育園では献立作成・発注・大量調理・食育を担当。現在は病院にて、栄養指導・栄養管理・献立作成などを担当している。 プライベートでは、5歳と2歳の兄妹の母として家族の健康を守るべく日々奮闘しております。