歳を重ねるにつれて「以前より食が細くなった」「足が細くなってきた」「ペットボトルの蓋が開けにくい」このような体の変化を感じる方は、フレイル予備軍かもしれません。健康的に過ごすためには、体の変化に早く気づくことが大切です。
今回は、フレイルとはどういう状態をいうのか?フレイル予防ができるレシピを3つご紹介します。
フレイルとは、年齢とともに体力や気力が弱まり、心身の活力(筋力や認知機能など)が低下した状態を意味します。「Frailty」の日本語訳として「虚弱」に代わり、2014年に日本老年医学会によって提唱された概念です。健康な状態と要介護状態の中間に位置するもので、放っておくと要介護状態になるリスクが高まるといわれています。
超高齢化社会が進む日本では、2025年には75歳以上の後期高齢者が2000万人を超えるとされ、フレイル対策の重要度が高まっています。
加齢に伴う症状には個人差が大きく、フレイルに該当する人の早期発見はなかなか難しいのが現状。以下の評価基準で当てはまるものがないか?チェックしてみましょう。
上記の項目で、3つ以上当てはまる方は「フレイル」、1~2つだと「フレイル予備軍」に該当します。
※参考URL:けんこう兵庫21県民運動ポータルサイト
フレイルを避けるためには、意識的にタンパク質摂取や適度な運動など、早い段階から対策をしておくことが大切です。
タンパク質は、筋肉や内臓、皮膚、爪、髪の毛など、体の大部分がタンパク質でできています。その中でも筋肉は水分以外の約80%がタンパク質でできているため、筋肉量を減らさないためにも毎日欠かさず摂る必要があります。
一般的な成人の1日あたりのタンパク質摂取量の目安は体重1kg当たり1g程度。体重50kgの人なら、1日50gのタンパク質摂取が目安です。
65歳以上になると、体重1kgあたり1.2g程度のタンパク質が必要になります。体重50kgの人なら1日60gのタンパク質摂取が目安です。健康状態や持病の有無によっても変わりますが、年齢を重ねると栄養の吸収効率が落ちるため、多めのタンパク質摂取を心がける必要があります。
タンパク質は、肉類や魚類、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品に多く含まれています。これらの食品をほぼ毎日摂ることで、タンパク質以外の栄養素も補うことができます。 不足しないよう、意識して毎食ごとにタンパク質を多く含む食品を摂るようにしましょう。
主食のご飯やパン、めん類にもわずかですが、タンパク質が含まれています。主食・主菜・副菜がそろうメニューはフレイル予防だけでなく、骨を丈夫にしたり、血管をしなやかに保つ、体調不良や病気に負けない体作りにもなります。
焼き鳥缶と卵でタンパク質をしっかり摂れるレシピです。焼き鳥の缶詰を使えば、缶詰の汁で味つけができて時短に。玉ねぎを薄く切っておけば、火が通りやすくなりますよ。
焼き鳥缶…1缶
玉ねぎ…50g(1/4個)
卵…1個
三つ葉…あれば
だし汁…大さじ2
ご飯…150g
焼き厚揚げにあんかけをプラスすれば、パサパサ感がなくなり食べやすくなります。
絹厚揚げ…2個
にんじん…30g(1/6本)
えのき茸…30g(1/4束)
むきえび…8尾
スナップえんどう(またはきぬさや)…2本
だし汁…200ml
こいくちしょうゆ…大さじ½
みりん…大さじ½
(水溶き片栗粉)
片栗粉…小さじ2
水…小さじ2
食が細くて一度にたくさん食べられない方は、おやつでタンパク質を補いましょう。白玉粉に豆腐を加えると、しっとりとした食感の団子ができ、食べやすくなります。
白玉粉…80g
絹ごし豆腐…100g
水…適量
つぶあん…100g
フレイルの評価基準と、フレイル予防ができるレシピを3つご紹介しました。フレイルを予防するためには、タンパク質をしっかり摂るとともに、欠食することなく1日3食をしっかり食べたり、体を動かす機会を増やしたりすることも大切です。
フレイル予防は早いうちからの「気づき」が大切。「あれ?そういえば…」と感じることがあれば、今できることから始めて、いつまでもアクティブに過ごせる健康な体を手に入れましょう!
管理栄養士・健康運動指導士・ライターとして活動。 特定保健指導では生活習慣病予防を、介護予防事業では高齢者のフレイル予防と、 食事と運動の両面から健康づくりのお手伝いをしています。